増幅学入門 3 いけないトランジスタ回路設計
一石のアンプ
増幅の基本は一石アンプである。トランジスタはこのように使うのが正しいやり方である。エミッタ接地を素で使うなどという暴挙
は慎まなくてはならない。
このように良好な特性が得られる。J−FETよりも低歪になっている。呼び方としては電流入力カレントミラー又は
簡易型サトリ回路が適当。
参考 エミッタ接地回路の悲惨な例
小信号トランジスタのgmは40mSくらいあるが、それをそのまま使おうとすると指数関数特性がでてくるので
ある。又一般的に小信号トランジスタの肩特性は悪いのでスイングレベルも狭く非直線性を生じやすい。
カレントミラーが逆関数合成であることを示しておきましょう。
参考2
電源ノイズが多いとうまく測定できないので、このようなリプルフィルターを用いて動作させる。
二石のアンプ
2石あればもうパワーアンプが作れる。MOS−FETのソース接地回路を用いる。K1056、K405、K722、K1520、K1298の中では、
K1056が抜群に低歪になる。
一石で済まそうとして抵抗負荷にしてもうまくゆかない。定電流回路が必要。ゲインを得るためにはソース接地
回路にする必要がある。反転アンプなのできれいにNFBをかけることができる。
製作例
MOS-FET単段アンプ
単段シングルアンプの直線性を示すグラフは静特性からダイレクトに得ることができる。
IRFI530Gの静特性の描画
8Ωの負荷線を引き、交点をプロットすれば得られる。
プロット例
K1056はV−FETに匹敵するくらい直線性が良いことがわかる。
このようにかなり良くない。気合を入れてアイドリングを2.5Aにしてみる。
このくらい改善するがまだまだである。
何故これでよいのかを示しておきましょう。
負荷線図はこの回路における電流・電圧の変化を表すものである。
シミュレーターではプロットしなくても連続グラフがすぐ描ける。
上の回路はこのように置き換えることができる。
重ねてみるとほぼ同じである(ずれはDCが合っていないため)。
この場合の静特性を描画してみる。
このような負荷線の引き方になる。
実際の回路では理想定電流回路ではないので端のほうで若干違ってくる。
三石のアンプ
よく知られているようにサトリアンプは高価である。しかし三石もあればサトリアンプが作れる。
サトリアンプの本質はトランジスタのgmを封殺したサトリ型電圧増幅段、AB級MOS−FET出力段、
OSコンの多用である。
これがその回路。サトリアンプのエッセンスが入っている。
未製作
四石のアンプ
小信号トランジスタと違い小信号FETは直線性、肩特性とも優れているのが多い。FETをこのようにソース接地で使い、
目いっぱいNFBをかけたものである。初段の負荷抵抗(2段目の入力抵抗)が高くないと性能が出ないが、こういう構成だと2段
増幅の必要がないくらい良い特性となる。
製作例
スーパー白雪姫
続 化石の回路を検証する
空氣忍者
六石のアンプ
電力用PNPトランジスタはhFEがフラットのものがつくれるので、こういうアンプが成立する。驚くほど直線性が
よいのである。電力用NPNトランジスタは特性がフラットではないのでプッシュプルにしないほうがむしろ良い。
製作例
完全アンプ
完全アンプIII
「式部」 完全アンプ エクストリーム
完全アンプODNF
完全アンプクラシック
七石のアンプ
原始的な感じがするがこれが基本的なSEPPアンプなのである。昔からあったらしいが、それほど
使われていなかったようである。現在の金田式はこの方式が採用されている。
これは金田式をさらに簡便にした回路。これ以上素子を減らせない。
製作例
UHC−MOS プッシュプルアンプの製作
「水仙」
N-CHANNEL POWER MOS
FET IRFW I540Aの研究
10石+ICのアンプ
MOS−FET出力段のもつ非線形性をZDRをもちいて直線化したアンプ。ZDRはヤマハの登録商標であるが、
SONYのほうが早く製品化しているようだ。
未製作例
線形アンプの製作
付録
ICアンプもこのように製作すると次元の違うアンプに仕上がるのである。
全世界同時革命回路
製作例
「あやめ」 と 世界史入門
AYAME X1-R