スケルトンシステムとともに
スケルトンシステムを聴き始めて4週間ほどたったのでほぼ概要がつかめた。LP全ジャンルとSACDも聴いた。
一番良かったのが先ほどのレファレンスで、主力であるユーミンとか太田裕美とかはハイファイ度が少し落ちる。
洋楽はハイファイとして定評のある盤もあるがやはり日本の録音のほうが緻密で繊細な音がする。
SACDはLPのような感覚でよさが味わえる。がその直後に聴いたビリージョエルのコールドスプリングハーバー
の空間に溶け込むような音は忘れられない(LP盤)。
クラシックでは長岡A級外盤が良いのではと直感的に思い聴いてみたが、これはかなり素晴らしい。
FE203でできることは(スケールは落ちるが)FE103でもっとよくできるという法則がある。
A級外盤CDもやはり素晴らしい。OCORAのワールドミュージックの異次元空間の再現は癒される。EMVであと
何枚か買う予定。
今日もあっと驚くような音がでた。件(くだん)のシステムでバリーマニロウのEven
Nowをかけてみたところ、ものすごい透明感とともに
立体感、鮮度が感じられた。純アナログらしさもある。このLPでこれまでに聴いたことのない音である。
どうやらFE103でアナログを聴いたことがほとんどなかったのでその変化を感じているだけだと思うが、それはおいおい確認して
いく予定である。CDではいままでとそれほど変わらない印象をうけるのも傍証っぽい。
アンプを変更 1
オールFET金田式に変更した。印象的だったLPを駆け足で聴いてみる。
バリーマニロウ Even Now
谷川浩子 猫の森には帰れない
ビリージョエル Cold spring harbor
やっぱりというか、透明感は同等以上、さらにきめが細かくさわやかな感じがする。スクラッチノイズには敏感で盤質を選ぶ。
楽しく聴けて低音もよく出るのはスケルトンの方。
松任谷由実 Olive
これならCDに対するLPとしてのアドバンティッジが十分ある。絢爛豪華な音絵巻として楽しめる。音もぞっとするくらい綺麗だ。
今日はここまで。
予定
スケルトン→オールFET金田式GOA→UHC−MOS完全対称→V−FET完全対称→バイポーラ金田式GOA→LM3886
完全アンプ→完全アンプODNF→非対称アンプ (天然歪系)
K1529/J200 DCパワーアンプ→K405/J115 DCパワーアンプ→A1941 K79 DCアンプ →LAPT DCアンプ
という順序で音を確認しながら聴いてゆく。相当時間がかかりそうだ。アンプが済めば今度は、
FE103Eペリスコープ→FE103M(鎌倉)→賀茂→3代目空気忍者→BC10→FF125K→伊集院
という順序で鳴らしてみる。総当りでやるわけにはいかないのでアンプは固定する。
おまけとして、
PRA2000→PRA2000ZR→自作イコライザー
もやってみようと思う。
スケルトンシステムはFE103Eペリスコープ+スケルトンアンプ+PRA2000+KP9010+AT−F3IIでほぼきまり
なのだが、その守備範囲の確定とさらなる可能性を調べる目的で行うのである。
アンプを変更 2
UHC−MOS 完全対称
音質は同じように聴こえる。音は良いのかどうかわからない。
アンプを変更 3
V−FET 完全対称
音質は同じように聴こえる。音は良いのかどうかわからない。
・
・
・
以下永遠に続く。
もしこういうことが成立するならば、半導体アンプであれば音質は変わらないという主張が正しいといえるだろう。
しかし普通の人なら市販アンプと金田式との区別は簡単につくので、こうなることはまあありえないと言って妥当と
思う。変わらないと思う人はもしかして機器を聴いて音が良いと感じることがないのでは?と想像できる。
この方法をマラソンテストと呼んでおく。ダブルブラインドテストより信頼性があると思われる。どんな人でも良いが
誰かがこのテストを受けてみて音が変わったと思った時点でテスト終了である。
注釈 : 主張を仔細にきいてみると高槻学派の人は音が変わることは認めているみたいである。その上でその差異がダブルブラインド
テストで有意差として出るかどうかを言っている。ダブルブラインドテストでは差がでないという仮説なわけである。テスト自体は
人選から機器の設定からいろいろだろうからそれは出ないかもしれないしばっちりでることもあるだろうと思う。
失われた恋人テスト
ある日愛用していた銘機が壊れたとしよう。市場ではもはや手に入らないという場合代替機をさがすことになる。
音質はすみずみまで慣れ親しんでいるので新しく買ってきたアンプではどうも不満である。同じ音を求めて永遠に
さすらうか、まあまあ満足できる機器でがまんするかの選択を迫られる。
この過程で全然駄目な機器とある程度不満のない機器とにカテゴライズされてゆくはずである。(失われた恋人テスト)
運よく手ごろな価格で満足できるアンプが見つかればハッピー、そうでなければ地獄である。
音質を気にしない人は常にハッピーなのである。
変わらないと思う人はもしかして恋人のようなアンプに出会ったことがないのではないだろうか?と想像できる。
方法
被験者は見た目は同じの何台かのアンプを自由に試聴して好きなアンプとそうでないアンプに振り分けてもらう。
後日好きなアンプを郵送して使ってもらい満足ならそのまま聴いてもらい、不満足なら製品を交換する。
このとき正しいアンプと正しくないアンプをランダムに郵送し、被験者が的確にクレームするかを調べる。
この方法では被験者の音質判定能力が確かめられる。
オーディオ我慢大会
誰も企画しないようなので案だけだしてみよう。
方法
ここはオーディオ我慢大会会場。20畳ほどの密室にオーディオセットが用意してある。部屋は厳重に遮音がなされ、
吸音も適度になされている。正面にはハイエンドシステムが鎮座ましましている。照明はやや暗めで、椅子は5人分ほど
用意されており、競技者は自由に飲み物を飲んだり、用を足したりできる。ただしトイレには同じ音楽が鳴っている。
この状態でできるだけがんばり、いやになったら部屋を退出して競技終了。
この競技の欠点は音楽を全然聴いていない人が優勝する可能性があるということである。だから競技者は聴こえてくる音楽
ならすべて聴いているという音楽好きに限らなくてはいけない。
予想されるデータとしては、ハイエンドシステムでベルリオーズをがんがんやられると退散率が高く、フルレンジで気持ちの
よいポップスでも流していると退散率が低くなるかもしれない。真空管シングル、真空管PP、半導体アンプ、半導体テイストの
ソフトディストーションアンプなどで実験を行ってみるのも面白い。
ここは私の8畳(+クローゼット2畳)の部屋
遮音性が余りないのでがんがん鳴らすと家族に怒られる。だから人がいるときはスケルトンシステムで聴くのが最適なの
である。
アンプを変更 2
オールFET GOAの好敵手といえば、UHC−MOS完全対称アンプである。二次歪対三次歪の対決ともいえる。
松任谷由実 Olive
大貫妙子 Signifie
Police Sinchronicity
これは電流正帰還がかかっているため音が空間にすっとなじむ能力が高い。音がストレス無く明るく鳴るのが特徴で情報量の
多さも遜色ない。低音はごまかしなくちゃんと鳴るのが好ましい。ここのところをつきつめて考えると、このアンプでは駆動と電磁
制動が正しく行われているが他のアンプでは破綻しながら鳴っていると解釈できる。
総合的には一番優秀と見る。ただ深淵な感じは少ない。
アンプを変更 3
V−FET 完全対称アンプ
山崎ハコ 藍色の詩
八神純子 素顔の私
くせの全く無い無色透明な音。ほとんど究極の回路であるわけだし不思議なことと騒ぐ必要も無い。切れ味、ディテールの質感の柔らかさ、
何をとっても最高のクオリティであることはほぼ間違いない。ただし低音はそこそこ。
アンプを変更 4
バイポーラ金田式GOA
Bob James & David Sanborn Double
vision
Billy Joel
Innocent man
選曲が悪かったかな?あまり良いところなし。バイポーラは余計な音が出すぎる。
谷川浩子 猫の森には帰れない
レファレンスに戻る。ちょっと硬質な感じ。低域や弦は歌い上げる感じがでる。アンプとしてはスケルトンとはかなり違う。
音場感が不完全なのは微細領域で音が途切れていることがふと予想された。
アンプを変更 5
LM3886
谷川浩子 猫の森には帰れない
なりすましバイポーラ金田式GOA。音場感はやはり不安定(スピーカーにまとわりつく&強調感)。音色はよく似ている。
鮮度なども遜色無い。筐体を同じにして入れ替えテストをすると面白そう。
私にはバイポーラは微細な音がべたっとつぶれているように聴こえる(A級はたぶん違うと思う)。
今日はここまで。
アンプを変更 6
完全アンプ
松任谷由実 悲しいほどお天気
わずかにハム音が聴こえている。音場構築は完璧。破綻無くまんべんなく音が広がる。解像度はよく音のふるまいは
慎み深い。音色は特徴が無い。透明度は最高度ではなかった。わずかに濁っているのではないだろうか。
アンプを変更 7
完全アンプODNF
松任谷由実 悲しいほどお天気
広大な音場。余裕でスピーカーの外まで音が広がる。音像は明確。その他は完全アンプと同じ。音はわずかにつやが
あり、常用機にするならこちら。
アンプを変更 8
非対称アンプ
松任谷由実 悲しいほどお天気
違う。よりソフトタッチできめこまかくさわやか。少し霞がかかったようなところもある。これからすると完全アンプは妥協を許さない
ハードなアンプだ。非対称アンプの低域は充実している。
上記3つは天然歪系、または半導体テイストのソフトディストーションアンプに属する。癒し系の音である。ソフトディストーション系は
小音量でもボディがあるので、ながらで聴き流すのに最適。
アンプを変更 9
K1529/J200 DCパワーアンプ
谷川浩子 猫の森には帰れない
これは電圧増幅段が金田式で電流正帰還もかかっている。パスコンはVx。透明できめが細かく明るい音。まじめでオールマイティ
な音がする。スケルトンアンプほど大胆な脚色はない。
アンプを変更 10
K405/J115 DCパワーアンプ
松任谷由実 Olive
高域はMOSらしいさらさら感と明るさがあるが控えめな音だ。金属的な音ではなくセラミック的。低域はやはり少々あいまいな鳴り方。
何度も聴いてきたが評価はこれにつきるだろう。
アンプを変更 11
A1941 K79 DCアンプ
松任谷由実 Olive
V−FETとバイポーラのハイブリッド素子のアンプ。音と空間のコントラストがあるのだ。スピーカーを無視して音だけが空間からわきあがって
くるように感じる。音はしっとりとしてねばりがあり金属的で強靭。V−FET単独では出ない音。新ジャンルのアンプだ。
スケルトンシステムにこれを採用してもよい。
アンプを変更 12
LAPT DCアンプ
松任谷由実 Olive
エピタキシャル系のさらさらとして明るく強靭な音。市販アンプを思いっきりシンプルにつくるとおそらくこんな音になるだろう。ハイハットの
金属的で澄んだ音は音質上のこの上ない魅力になる。
このアンプまでくるとあちらの世界からこちらの世界に戻った感覚になる。
今日はここまで。
スピーカーを変更 1 (以下アンプはスケルトンに固定)
FE103Memorial (鎌倉)
松任谷由実 Olive
アートガーファンクル Watermark
半日鳴らしているといつもの音になった。高域は同じくらい繊細。低域はペリスコープよりふくらみぎみ。電流正帰還が少量必要だろう。
スピーカーを変更 2
BC10
松任谷由実 Olive
高域はFE103とは別物。器楽パートはクールな感じがあるが声は生々しい。バスレフ効きすぎなので電流正帰還は必要だろう。音場感は
FE103のほうがよく出る。エージングの問題かもしれない。
スピーカーを変更 3
FF125K
松任谷由実 Olive
電磁制動をかけられるアンプなら実装状態でQ=0.48くらいになるので、バスレフとして申し分の無い鳴り方をする。箱が小さいので
音はよく拡がる。ボーカルはなぜか明瞭さに欠ける。
パフォーマンスは素晴らしいが趣味の音楽鑑賞からは遠ざかる感じがする。
スピーカを変更 4
FF85K 伊集院
松任谷由実 Olive
クールで緻密で繊細。FE103に十分対抗できる。バスレフのできも良い。電流正帰還は不要。スケルトンシステムに採用してもよさそう。
FE103のほうがあっと驚くような音だがこれも相当なもの。
Tangbandは割愛いたします。
プリを変更 1
PRA2000ZR
松任谷由実 Olive
さらに透明に、繊細にきれこむ。トランスペアレンシーのマージンが上がっていると考えられる。
スケルトンシステム Neo
KP9010→AT−F3II→PRA2000ZR→スケルトン→伊集院
プリを変更 2
自作イコライザー+PR2000ZR
松任谷由実 Olive
マンガン電池12本を用いる電池式。昔作ったもの。出番がほとんど無かった。
少しおとなしくなるが、これといって不満の無い音。ハイハットがたなびくように綺麗に響く。
最後にバリーマニロウ Even Now を聴いて今回のテストは終了。
追補
W3-582SB(ポリプロピレン コーン)
未発表作の三代目空氣忍者です(といってもたいしたことはないが)。
この場合やはり小音量ではまどろむような音ですが、音量を上げると立派な音になります。低音は小型ブックシェルフに
おそらく引けをとらない鳴り方です(FEシリーズでは不可能)。高域もそれなりにさわやかに鳴っています。
クラシックをかけてみると思ったとおり破綻の少ない鳴り方でしかもフルレンジらしい抜けのよい味もあります。真空管アンプ
を持ち出さなくてもこれで良いかもしれません。
さらにLM3886でやってみると低音はど迫力、高域もくせは気になりません。ぴったりはまっています。
このスピーカー、一般のスピーカーに近い音作りだと思います。この場合耳までが耳です(極めてノーマル)。
オカルトスピーカー「賀茂」
オカルトの由縁は(作らなければ)存在しないアンプを想定して作られているスピーカーで、もしそういうアンプと組めば想像を
超えるパフォーマンスを示すことからそう呼んでいる。
素のスケルトンで聴いてみる。やはり低音がかぶる。台で持ち上げてもダクトをダンプしてもだめなのはわかりきっている。
今回は重い腰をあげてスケルトンを負性インピーダンス化してみる。
入力抵抗10kΩ、帰還抵抗47kΩ、電流検出抵抗0.1Ωでやってみた。
Mark-Almond "Mark Almond II"
Dave Grusin "One of a kind"
静かで透明。クラシックでもポピュラーでもいける万能に近いスピーカーだ。しかもパルプコーンでは聴けないようなひんやりとした
チェンバロの音が聴こえる。事情があり音量を下げる。すると凡庸な音に戻る。音量を出せるなら常用として使える。
ポテンシャルの高いスケルトンシリーズだが、予定にあがっているのがK60/J18のV−FETソースフォロア、IGBTのSEPP
などである。しかしよく考えてみると極限の性能といいながらV−FETにすれば低音はそこそこになり、IGBTにすれば高域が未知数
でいまいち期待できない。つまり一長一短のアンプになるということである。今K1529/J200にとどまっているのはバランスが良い
からである。
本当に極限を目指すならV−FET素子を使って超弩級アンプを作ることが正解で、それならヤマハB−1が相当する。HMA−9500II
もそれに近い。
そう考えるとスケルトンシリーズは違った性格の各種アンプを作るだけのことで、今ではどうすればどうなるか大体わかっているので、
それほど新味はない。
というわけで着手しにくい状況にある。
負性インピーダンス化したスケルトンでFE103Eに復帰
透明度が格段にアップした感じがする。
CDだがシェフィールドのドラムレコードを聴くと完璧に鳴らしている。アナログでベルリオーズの幻想交響曲を聴くと、オケの咆哮
まで完全に鳴らしきる(比較的小音量だが)。
MFBをかけた装置でオーケストラを鳴らしているときの効果と同等なのだろうと思う。こちらの方はスピード感もある。
今日も聴いてみた。
松任谷由実 悲しいほどお天気
電流正帰還によって高域の悪化が多少懸念されるのだが、それほど悪くはない。かえって背景のコントラストが上がって
いろいろな音がよく見える感じがする。
そうしているうちにA面かB面の終わりのほうのトラックでMFBらしいズドーンという制動感のあるベースが聴けた。これは
珍しい。この音は聴こうと思ってもなかなか聴けない。
MFB20の項で述べたように、ベースギターがまるでトロンボーンのように鳴る現象である。電磁制動だと行き過ぎた速度は
ダンプして減速するだけだが、速度型MFBでは信号どうりの速度に制御できる。
このことをMLBの投球術になぞらえて考えてみよう。
参考 松坂大輔の考える魔球
いったん浮き上がる様に戻ってズバッと落ちる
野球の世界ではこのようなことはおそらく実現不可能だろうが、電気の世界では可能なのである。
MFBは稀にではあるが魔球感覚が楽しめる。
現在の状況
KP9010→AT−F3II→PRA2000ZR→負性インピーダンス化スケルトン→FE103Eペリスコ−プ
全機発振せよ!
という長岡鉄男氏のコラムがありました。うちのスケルトンも勿論全機発振しています。
各機の紹介
スケルトン1
電圧増幅段はトラ技のアンプのパーツセットをそのまま組んだもの。回路は斯界の権威黒田氏の設計によるもの。
いやな音が全然しないのでLPの再生に威力を発揮している。
スケルトン2
金田式にV−FET出力段を導入したもの。音の良さは驚異的で、世界のすべてのアンプに打ち勝つことが
できる。が、これで毎日聴いている訳ではない。
スケルトン3
上條氏の半導体D−NFBアンプの機能コピー版。原理は全く同じなので特性も同等と思われる。
スケルトン4
謎の素子IGBTを使ったスケルトン。
スケルトン5
回路の錬金術師に依頼して製作されたもの。V−FETもどきの音がしている。
ビクターのウッドコーンスピーカーを導入。
どの機種をいれたのかは秘密だが、FE103Eペリスコープの後釜として導入。ピアノの音がリアルでもう音が神々しい。
スケルトン3で十二分な音なのでこれでだいたい聴いている。