IGBT SEPP
フェアチャイルド社のNチャンネルIGBT TG12N60C3Dでアンプを試作した。
三次歪が多い。音はわりとくっきりとした表現力があるが、それほど良くもない。
しばらく飼ってみることにした。
ヒューズを何本か溶かしてしまったので、調整しやすいように組みなおした。これだと音楽も聴けるし調整もできる。
が特性は依然としてあまり良くない。ここが解決したらスケルトン4になる目もあるのだが。
スイッチング素子を増幅器に使おうとするたわけものと言われてしまいそうだが、古くはケンウッドが高級プリメインに採用すべく
実験していたらしい。当然それは没になりバイポーラが採用されている。Webでは作ったという噂を耳にするがその詳細は不明で
ある。高次歪を解決できているのだろうか。次数別歪率を示していただければ判断できるだろう。
スイッチング素子でもMOS−FETの場合はオーディオ用途として成功している。アナログ部分にたっぷりとおいしいところがあるか
らである。
TG12N60C3D
K1298
データ収集
Vge(V) Io(mA)
5.05 5
5.2 10
5.25 18
International-RectifierのG4PC40UDで組んでみた。
Vgeが少し大きめになると推測。定数はこのようになった。これでも調整はとても危険。
データ収集
Vge(V) Io(mA)
5.9 11
6.1 24
音楽は聴けたが0.01Wで歪が0.69%なので良くない。
特性上はバイポーラによく似ている。音もバイポーラとUHC-MOSを合わせたような感じになる。
7次歪まで見てみた。
五次、七次歪が聴こえるレベルまできているのが読み取れる。
バイポーラとはよく似ている。
MOSではこのような歪は皆無に近い。
D188を聴いているとくっきりとしたコントラストのある音で、ハーヴィーメイスンのシンバルから七色の音色が聴こえるような感じがする。
バイポーラのかなり幻惑される味わいだ。
少し歪を残して「幻惑の魔性アンプ」として発表するのもいいかもしれない。
クロスオーバー歪を見る。出力は0.01Wくらい。
Io=40mAにすればクロスオーバー歪の心配はほとんどなくなる。高調波歪もわりと少なくはなる。
だがこれ以上にしようとするといきなり2Aにブレークする。また信号のレベルをあげてもブレークする。
いまのところ音楽は聴けるが測定できないところまで退化してしまった。
2段目の石をA606に戻した。ブレークしなくなった。
これで完成。スケルトン4への道がひらけた。
これでだいたい良いようだ。再現性もある。こつは発振しやすいA1015などを使わないことだろう。
アセンブル作業も亦楽しからずや。が少々気合をいれないとなかなか前へ進まない。そのいい例がD188完全対称だ。
でスケルトン4IGBT。
音は全く新しい音。意外ときれいな高音。
スケルトン4をメインシステムに組み込んでいろいろ聴いてみた。
低音はかちっとして揺らぎがなく音程明確1オクターブ伸びたような感じで重量感がある。UHC−MOSでも感じなかったような
独特の音だ。明らかにバイポーラの延長上にあり、そのはるか先をいっている。絶対にこれない領域である。
高域は金属的な輝きがありしかもソフトタッチで雰囲気がある。
V−FETとは違った意味でスケルトンシリーズの中でトップにたつ音だ。これは予想外だった。
たがボーカルではくせがだんだん鼻につくようになる。器楽ではそれほど問題はない。
スケルトン5は完成間近だ。