金田式アンプの音のよさの秘密を探る いつまで続くのか編

  UHC−MOS完全対称アンプは三次歪の多いエキスパンド特性のアンプである。ものすごく反応の良い歪の少ない
低音が聴ける。では一般のアンプの入力前にエキスパンダーを付加して特性を似せてみたらどうなのだろうか。

  残念ながらそれでは音を再現することはできない。

 パワーアンプは運搬車である。実際にウーハーを駆動して音波を前に出さなくてはいけないのである。

  ここでスポーツカーについて考えてみる。一般的にスポーツカーは強力なエンジンを積み、軽量設計がなされ、
操縦性もシャープになっている。これですいすい走っている状況を想像してみよう。

  ここでアンダーパワーで操縦性のややダルな昔のトヨタ車のようなクルマを上手に運転すれば同じように走ることが
できるだろうか。

  答えは否である。

 ドライバーが先を読んでここで目いっぱいアクセルを踏み込む。しかしエンジンがノッキングするだけでクルマは前に
進まない。早めに減速する。カックンブレーキだったりする。

 スピーカーの駆動についても同じようなことがいえる。小型フルレンジを強力アンプで駆動する場合はスポーツカーに
例えられる。大型スピーカーを小さいアンプで駆動するようなときは、NFBも前置フィードフォワードシステムもともに無力
な存在になることを承知していなくてはいけない。



  電流出力アンプはどのように例えられるだろうか。駆動力は非力でノーブレーキということになる。電磁制動アンプは
駆動する気まんまんで、ウーハーの立ち上がりには電流をここぞと流し込み、止めるときには電磁ブレーキをかける。

  fs付近での電流出力アンプのふるまいはウーハーがおもむろに立ち上がりつつあるときでもマイペースで電流をながし、
少々遅れ気味でもおかまいなしである。そうしてるうちにウーハーは動きすぎの状況になるがノーブレーキなので、予定の
電流を流し終わればあとは力学的に減衰するのを待つだけである。

  以前の考察によると制動力は駆動力なのであるから、制動力のないシステムは駆動力もないことになる。

  話がfs付近の場合バースト波の立ち上がりのよさは、MFB>電磁制動>電流出力になる。要するに単純にQの小さい
順にならぶ。方形波の場合は帯域がちがうのでこの限りではない。


電圧増幅段について調べてゆく。

測定用バッファ


  リプルフィルターはいつの間にか石が逝っていたので、ブリーダー抵抗を追加しておきました。





  一番素性が良いのがわかる。





  二次歪が豊富。






  ノイズが多いのがグラフに出ている。

  単段アンプは音色を持つのだということがよく見えてきます。設計の工夫によってそれが出ないように
するわけですが、やはり最終的には個性として現れます。


V-FETシングル





  純2次歪アンプ。SEPPにするとすごいものになりそう。





  ソースに入れたVRでACバランスを調整すると二次歪が減少する。DCバランスと両立しない場合は少々困る。













  ちょっこれはエフェクタ。



ダイアモンドバッファ







  三次も二次も改善しているということは、対称合成ではないということ。





  サトリではこのバッファに抵抗をかませて電流出力にしている。SLCと比べてもそれほど遜色はない。




  最後の機会なので大人買いをしてみた。



  LEDでバイアスを作ると16mA流れる。
  


  これでも改善されているので元が悪いということだ。アイドリング16mAでは直線性が悪い。

  AB級の特性を見る。



  三次歪は少ないですね。





  このアンプもアイドリングをこのくらい流すと良い特性になる。

  これとGOA MOS、UHC−MOS SEPPの三者を聴き比べてみると、UHC−MOSが
一番良い音に聴こえる。UHC−MOS 金の音、GOA 銀の音という感じ。






  またこれか・・・。という感じ。終段の特性が出ている。ワイドラー式も万能ではないようだ。






  とても優等生的な特性。音も悪くない。






  わりと天然歪なアンプ。