2007年のカセット生活
ここ数ヶ月の魔界における活動の結果新品テープ350本と3ヘッドデッキ1台を獲得できた。DD Quartz Walkmanは2台が
行方不明だ。カセットデッキは三次歪機器*なのでピュアオーディオとしては少々成り立ちにくいところがあるのは確かである。きれい
に録音したらカーステレオで聴くのが私の楽しみ方である。LP音源を録音した場合は無味乾燥なCD−Rより音は確かにいい。しか
も一人のアーティストを各種テープで収録するとテープの音の違いが楽しめる。
SAに使われているアビリンの音というものがある。高域については清潔な感じで鳴ってはいるがつやや輝きに乏しいと感じられる。
長い間これがアビリンの音だと思っていたが、AD−Xも実はアビリンなのである。こちらはキラキラ輝くような音でSAに似ていない。ア
ビリンの音だと思っていたのは実は録再システム自体の音であった可能性がある。
日本のメーカーもただハイファイを目指していただけかもしれないが、多様な品種を生み結果としてこのような豊かな世界ができて
しまったのだろう。これもまた驚異の日本文化の一つである。
上のグラフは所有しているテープの大体の比率である。UD Iのためマクセルが増大し、ADのためTDKが増大してしまった。確かに
カーステレオで聴くにはこれが妥当な選択である。はっきりくっきりで迫力のある音が得られる。SONYが少なかったので今回反省して
HF−Xなどを仕入れておいた。
DD Quartz Walkmanは回転負荷の小さい方向で使えばあまり問題は生じないようである。クラシックにはどのテープが良いのか
はまだ結論は出ていない。
*高域では二次歪みも出る。
その画像
これだけあれば一生分。
最近お気に入りのテープ
CDixIVはとにかく美味。DISK JACKは出力レベルは低いがハイポジとは思えないようなダイナミックな鳴り方がする。
ときどき某店の店頭に出るので買ってきている。MA−XGは中身はPS−METALにしてあるがほぼ往年のMA−Rの
感じが再現されている。
DD QUARTZ WALKMANは内蔵のヘッドホンアンプを使うとうるさいので、Chu
Moyアンプを使ってみたら静かに
きれいに鳴ることがわかった。携帯用に一台つくろう。これならもうカセットデンスケのレベルだ。
DRR−F102
このAmazonで買えるアナログデッキとChu Moyアンプでアナログ音源を聴くのが最近の楽しみなのである。
K333ESAは虎の子なので再生に使うのは勿体無い。
Onkyo K-505FXも持っているが周波数特性はDRRのほうが伸びている。
このデッキはほとんどカーコンポなみの機能しかないが、テープの違いが出るし、アナログレコードの空間に溶け込む
ような音も少しは出る。
要するにFE103で楽しんだ純アナログ音楽を、今度はイヤホンで楽しむという段階なのである。iPod付属のイヤホン
はトランジェント抜群で分割振動がなく音色も紙くさくなくパワフルという利点を有するので、FE103から移行しても退化
した感じはない。
DD Quartz Walkman用のChu Moyアンプ
アナログらしい分厚い音がする。SONYの技術でiPodに勝ってしまったかも。
私の考えるヘッドホンアンプ
実際に作って見ると音は良かった。
オフセット10mV
ノイズが少なくよりきめが細かく甘口になる。なんというグルメな音だろう。
なんとなくオーディオの最終地点に近づいてきた気がする。
ミュージックテープのコレクション
AXIOM80を聴いていたころ何本か聴いてみていやに音がいいので不思議に思い収集しておいたものである。当時といっても1980年代
の終わりだがグラモフォン、ロンドン、デンオン、キングから新譜として出ていて自由に選べた。シリーズに通俗曲が多いのでコレクションはこの
くらいが限度だ。輸入版は都内某店でいくつか入手した。
今回どのような音になるかスケルトンシステムで確かめてみる。
アンセルメ スイスロマンドの展覧会の絵を聴いてみる。大体の予想通りFE103ではメディアの良さが出る。テープでは弱奏から強奏になるとき
ストレスが無いのが特徴だ。金管楽器もよく溶け込む。いままで聴いたことのないような音だ。
これと比べるとLPもCDも少しだが難がある。
どうやらこれが終着地点だと思う。
カセット生活は順調に進んでいるが、カセットが場所をとるのが難儀ではある。大量にある録音済みのカセットは段ボール箱にいれて重ねて
おくしかない。一覧方式で収納するなどは夢のまた夢だ。またカセットデッキがオープンデッキ並み大きさなのは閉口する。ミニコンポの大きさでよい
ではないか。その点オンキョーのデッキは音は申し分ないし場所をとらないので良い。デンオンはテープトラブルがとうとうでたので今後の買い増しへ
の警鐘ととらえておく。
オープンデッキ生活が長かったのでそのときの感触がのこっている。オープンはスピーカーで再生してもヘッドホンで聴いても満足できるものだ
った。MDでのヘッドホン再生は少し期待したが往年のオープンの感じはでない。ところがカセットでHF−ESやARを使うとオープンを彷彿とさせる
音がでるのだ。
クロスオーバー集1〜5でテープの音質を見る。(手持ちの音源をオムニバス方式で入れたもの。)
クロスオーバー1 TDK AD
音の伸び、透明感などすべて合格点。細部のニュアンス、余韻も聴き取れる。
クロスオーバー3 Maxell UD I
低音に関しては明らかにADより上。高域もさわやかで聴きやすい。このクラスのテープかARが新規発売されれば魔界も
終了となるのだが。
クロスオーバー4 Maxell UD I
上に同じ
クロスオーバー5 Maxell UJ
全体的になにかにふんわり包まれたような音になりこじんまりとする。音の細部はひんやりとした感触もあり解像度はある。
ずいぶん感じが変わるので代替ノーマルテープとしてはやはり採用不可。
ミラクルな一日
午後6時15分。部屋に戻りカセットをデッキにいれ再生する。ベルリンフィルハーモニーサロンオーケストラの録音テープだ。
東京オペラシティのコンサートの模様である。いきなり仕事場からコンサートホールにワープした感じだ。
劇場の雰囲気に引き込まれてゆくが聴きながらエクセルで仕事をしばらく続ける。よく考えるとこのテープは帰りの車の中でも聴けるし、
夕食後の散歩のときも聴ける。つまり終わりまで聴きとおせるということだ。
今の状況はさしずめ劇場のモニタールームを借りて実況を聴きながらちょっと仕事の続きをしているという感じだ。
午後7時車で家へ向かう。15分くらいだが車の中でもしっかり楽しめる。この状況はさしずめコンサートホールを中途で抜け出して帰途
特別にFM生中継をしてもらっているという感じだ。そのくらい音質が良い。なにしろBモードのエアチェックものだから。
家に着くと妻の手料理を肴にビールを飲む。しばし会話を楽しんでその後は散歩に出かける。
このときDDクオーツウォークマンとJ−FETヘッドホンアンプが役に立つのである。散歩の夜道はもうひとつのリスニングルームといえる
くらい静寂である。平均して人には一人車は2台くらいしか出会わない。
54分テープだったので散歩中に演奏会は終了した。ずいぶん長い拍手が続いた。
このパターンは当分楽しめそうだ。死蔵エアチェックテープはまだまだたくさんあるのだから。
エアチェックの再開
昔はBSやFMのエアチェックにケンウッドのタイマー付きオートリバース機を用いて重宝していたが今回はそれがない。
考えた結果BSの番組をハードディスクレコーダーに自動でとり貯めておいてK333Aでテープにダビングすることになった。
まずBS-Hiの5番組をAE、PS1、PS2、J’z2、DiscJack2でテープ化したが音質は昔のエアチェックテープより良い。
素晴らしいといっていいほどだ。さりげなくAEを入れてあるが、ほかと比較するとやはりこれだけ問題がある。
XLIIでプレヴィンN響を録音してみてクラシックはこれで決まりと確信した。ノイズが少なくきめが細かく透明感がある。
クラシックでドルビーを使いたくない場合ハイポジだと良い結果が得られる。わりとノイズが聴こえるノーマルはポピュラー
向きだし希少種なのでわざわざクラシックに使うことはない。
CDingIIでザンフィルを聴いている。いまとなってはこれがSAと同じであることがわかる。ノイズと歪が少なく繊細な音が出る。
DiscJack2は幻想旅行IIを入れてみたがエッジがでるし力強さもある。MOLが小さいのだがちょうどソニーHFIIのような性格の
テープなのだろう。よりMOLの大きいJ’z2だとエッジが甘くなる。DiscJack2は使い方を誤るとうるさいだけのテープになるようだ。
TDKのDela、if というテープがあるが今となってはAEの響きを感じることができる。高域の粒子が粗く響きが石っぽいのだ。ADクラス
だとこのように感じることはない。あとで測定してみよう。
333ESA搭載のキャリブレーションで最適バイアス値を調べてみた。AEでは−12dBとなり私の方法と一致している。Dela、ifでは
それぞれ−7dB、−9dBとなった。晩期ADで−5dBといったところなのでADでもないAEでもない位置にある。ちなみにDだと−12
dBになった。
最近一日一本は新品テープの封を切っている。BSのデジタル放送は高音質だし、できあがったテープのクオリティには
満足している。UJ族とDiscJackならまだまだ無尽蔵に入手できそうな気配だ。
アナ・ヴィドヴィッチのカヴァティーナは素晴らしすぎる。あまりに良かったのでMY1と追加でPS−METALにも録音しておいた。
私にとっては最終メディアはDATでもMDでもなくコンパクトカセットなので今は望外の幸せといえるところまで来たかもしれ
ない。
終わってしまった規格という煩悩を捨て去ってしまうならiPodという無の境地があるのだが、それで本当に耐えられるのかと
いうと疑問がある。カセットを見ると鳴らしたくなる。音がそれぞれ違うのが昔と違ってよくわかるので楽しくてしようがない。
今夜もスケルトン2V−FETアンプでモニターしながら333ESAでテープを作っている。うーむいい感じだ。モニタースピーカー
はFE103Eである。この音場感はもう飛び抜けている。実在に迫るというべきか。
昔BSの生中継のオーケストラをTiffany7で聴いてみたことがある。ASTを使ったフルレンジだし、ものすごい臨場感を期待
したが、たいしたことはなかった。
やはりどう考えてもアンプの違いは大きいと思う。
ああ初音ミクを買うべきかどうか。DTMをやると音楽を聴く時間が無くなるのでせっかく築いてきた音楽生活は破壊される。
こうなってしまった。
2007年ヴォーカロイド革命
寡作だとそれほど影響を受けないようだ。もう晩年だしまったりとカセットを楽しむほうがいい。30代の頃自分のためのレクイエム
を書こうと思っていたがこれで良い鴨。
クラシックの録音に適しているのはXLIIだが、最近はDiskJackIIまたはSound60を使っている。BSのピアノ曲を同じ録音レベルで
録るとDiscJackのほうが明らかにヒスノイズが少ない。低レベルで録るのでどちらも歪み感はなきに等しい。DiscJackのほうがクラシック
向きである。
これはDiscJackのほうをもう少し仕入れておくべきということだろう。
最近お気に入りのテープ
XLI−S
最近飽和聴取戦術に使った一本。もう繰り返しこればっかりかけるのだ。メロディーラインの強烈な曲なら一度聴いただけで
何をしているときでも頭のなかでそのメロディーが鳴っているくらいなので飽和術の副作用は絶大だ。しかしひとたびこれが成ると
その音楽を楽しむためのすべてを手にすることになる。今回谷山浩子でそれをやってしまった。バルトークの棒踊りのような曲もあり
面白い。愚直なようだがこれをやらない限り音楽の本当の喜びは得られない。
これでヘッドホンアンプの音質の比較をおこなった。
HFII
XIIの下位品種だがクリアーでアコースティックな感じはこれでしか出せないものがある。
UD1
ガンマヘマタイトかマグネタイトかは不明だが低歪なのでひょっとしたらと思っている。この音には最後の輝きのようなものを何
か感じる。
最近お気に入りのテープ
Super Metal Master
2007年のテープ生活にもそろそろ終わりが来る。最後はこれで楽しもうと思う。これは夢か幻か。
V-FETヘッドホンアンプのHA−6でゆっくり聴くことにしよう。