バイポーラトランジスタの測定

  パイポーラトランジスタだけは私のカーブトレーサーで特性を見ることはできない。ステップ電圧部分からは
電流をとりだせないからである。

  実際のアンプではダーリントンにして電圧ドライブしているのに、データシートを見ると何故か電流ドライブ特性しか
発表されていない。電圧入力=電流入力とは言えないのでそれだと参考にしにくいのである。





  これは昔手がけたことのある電圧ドライブ化したバイポーラトランジスタである。gmを調べることができる。
入力は絶縁化されたゲートだが、動作はバイポーラトランジスタそのものである。温度特性も正になっている。

  特性は見てみないとわからないが、扱いにくさはバイポーラと同じなので今ではアンプを組んでみようとは
思わない。

   アンプ化した例

 これを見るとgmは5Sに達しているようである。





  これがその特性。gmはやはり5Sくらいありそう。直線性はいまいちのようである(入力電圧が上がるほど
間隔が広くなっているようだ)。





  この図はバイポーラトランジスタのアーリ効果を(少々苦しいが)示すものであり、バイポーラトランジスタの
gmは原理的に線形であるという。

  果たしてそうなのであろうか?もしそうだとすればバイポーラこそオーミック リニアなアンプということになる。
しかし経験上バイポーラアンプは奇数次高調波歪を含有するたわけもののアンプという結論になっている。


   小信号TRで見てみると、線が引けないことは無いが成り立つ範囲は狭い。


  パワートランジスタで見てみるとどうにも引けそうに無い。大電流領域では直線性が
悪化している。



  これは電流演算アンプで良く出てくる図であるが、2Aくらいまでならまっすぐである。
ということはつまり完全アンプカスコードならば線形増幅が成り立つことを示している。
勿論8Ω負荷でもそれほど直線性が損なわれるわけではないので、実際にはカスコード
にしてはいない。

  参考 カスコードの負荷線


   カスコードアンプと通常のアンプとの違いは負荷線の傾きである。8Ωの傾きでは普通のアンプ
の特性が、垂直な負荷線ではカスコードアンプの特性が見れるのである。


  先ほどの主張はアーリ効果対策としてVceを固定化すれば直線化するという主張のようである。
カスコード化すればよいわけである。確かにカスコード化すれば電流増幅に関しては線形になることが
データシートにより確かめられる。しかしgmと言っている限り電流増幅の話ではないわけで、妥当性
に疑問が有る。ぶっちゃけていうとアーリ効果をキャンセルしたところで出力インピーダンスの変動
がなくなるだけで、直線性は元のままなのではないのだろうか。



   アーリ効果がなくなっても間隔が一定でなければ非直線性は同じ。

 参考

  特性がオ−ミックリニアでカスコードで線形の場合負荷をかけると非線形になる。
逆もまた然り。こう言う場合三極管特性のほうがむしろ直線性がよいような気がする。

(つづく)