アンプを式で表す

  前にもやったようにサトリアンプを交流信号電圧の伝達関数風に書くと、

    (1/gm)*gm*RL+儼gs

 のようになる。ここでgmとかVgsは電流によって変動する非直線性をもつパラメーターであると考えると本質がつかみやすい。

  これですべてのアンプを書いてみるとこうなる。

   gm*RL*gm*RL+儼be        一般のアンプ

   gm*RL*gm*RL+儼gs        MOS−FETアンプ

   gm*RL*gm*RL*gm*RL      完全対称アンプ

  ここまで見ると完全対称アンプはかなり特殊なアンプだと言える。

   gm*RL+儼be             フォールディッドカスコードのアンプ

   gm*hFE*RL             完全アンプ、非対称アンプ

   gm*RL*gm*RL*gm*hFE*RL    V-FET、バイポーラハイブリッドアンプ

  ここまで見ると最後の二つは超絶的に変種のアンプであるといえる。

  さらに変種である

   (1/gm)*gm*hFE*RL

  のようなアンプも書こうと思えば書ける。




  ただしこれだとNFBを掛け辛いので、下図のほうが実現性がある。


 線形アンプ



       (1/gm)*gm*(1/gm)*gm*hFE*RL

  と表すことができる。




  このようにするといかにもサーキットという感じがする(動作確認済み)。

  電流で入れてhFE倍して負荷に出力する。まさに電流演算アンプ。





  これはすごい。hFEを選別しDCオフセットを追い込めば可能っぽい。





   これならオフセット調整可能である。ゲインは0.8倍。アイドリング0.98A。







  高域の位相回転は60度以内。








  こちらの回路ではどうかと思いやってみたがゲインはかえって低下した。









  入力抵抗を変えると余裕でゲインが上がった。これならOK。





  入力抵抗が小さいとプリの負担が心配だが、クリップ寸前で入力電流が10mA程度となった。
PRA2000なら大丈夫だろう。

  これは完全アンプ族だが最初から電流なので、カレントインスピレーターと呼ぶのがいいかも。
吸い込んだ電流を約50倍にして吐き出す装置である。




  いやに二次歪の多い特性。5Wまでは音楽が聴けそう。


  最後に半導体が無くなった時代に偶然パワートランジスタだけ拾ってきたという場合に作るアンプを考えておく。


  ゲイン1.28倍



  これは教科書の第1ページに書かれるべき回路と思う。