第2部

  検討した結果、五極管またはJ−FETでは対称動作が可能になります。


  SRPPの問題点

   1 上下のゲインを揃えること
  
   2 上下の出力インピーダンスを揃えること

   3 ドライブ電流の非直線性

   4 ドライブ電流の行く先



   1 上下のゲインを揃えること

  プッシュプルの様に電流を合成する回路では、合成した電流から上下の
 ゲインを推測することは不可能です
。合成前の上下の素子の出力電流を見る
ことになりますが、その場合素子の出力インピーダンスが高い必要があります。

  

  この場合下側は定電流回路の一種なので、電流は流れ込みにくく
上側ドレイン電流は負荷に流れ込みます。同様に下側ドレイン電流が
上側電流検出部位に現れることはないので、赤丸の部分で電流の様子
を上下独立して観察することができます。三極管の場合はそうはいかない
ので、また別の考え方が必要です。

  参考




  5879の特性




  Ip=4mAでgmは1.98mSです。






  定電流特性です。


  対称動作となる条件

  上図のようにgmとカソード抵抗の積が1のとき、ドライブ電流とプレート電流が一致
しますから、この場合はRk=500Ωが適当です。






  DCスイープでAとBの電流を比べて見ました。



  この回路で実際の上下バランスを調べます。



  





 負荷4.7kΩのとき正弦波で波形をみてみましょう。



 


  DCスイープ特性








  この周波数特性はちょっと意外ですがSEPPより広帯域です。



   2 上下の出力インピーダンスを揃えること


  電流検出ポイントでそれぞれの出力電流を見ています。




  出力インピーダンスは同等です。


  合成特性




  ここまでの過程をSEPPでたっどておきましょう。























  特性を見る限りまったく対称です。負荷による対称性の乱れもない様です。




   3 ドライブ電流の非直線性

  SEPPのほうはドライブ電流は対称なので、非直線性も上下同程度です
が、SRPPの方は上側のほうのドライブ電流が若干余計に歪みを持ちます

  どのくらい差があるかは上のグラフから読みとってください。


   4 ドライブ電流の行く先

  これはSEPPのほうが原理的に不利で対称性がくずれています。上の電流図
でよく理解してください。


   結論的には、比較的低い負荷ではSRPPもSEPPと同等の対称動作が可能
といえると思います。


  自由研究

   この解析では上側のスクリーングリッドを出力電圧で振るように設定しました
が、固定の場合はどうなるか見ておきましょう。





  だいたいバランスするように定数を設定します。





  上側三極管特性になっています。