曲者 ZDR

  ZDRはODNFの仲間のように見えますが、かなりの曲者です。



  出力段の入力と出力を誤差増幅し、2段目で電流合成しています。ODNFとの
大きな違いは、合成ポイントが両方の検出ポイントの前にあるということです。その
ため、合成された信号は検出ポイントを2回通るため、通ったことによる影響はキャ
ンセルされます。これは補正結果はどうであれ補正してしまうというフィードフォワード
に近い性格を意味します。(擬似フィードフォワード)。



  元の回路を少し単純化しています。このままの回路ではエラーとなりシミュレーター
は動きません。図をよく見ると誤差増幅器の+側の回路は正帰還になっています。
−側は負帰還ですが、同時にかけたとしてもだめで、次の図のように正帰還側を少し
だけ減衰させてやるとうまく動きます。







  これは歪みの特性と、誤差アンプの出力です。これを合成するとほぼ
直線になるわけです。


  正帰還側の入力電圧をアッテネートして描いたグラフです。100%に
近づくほど直線特性になります。



  というふうにZDRは誤差訂正のメカニズムを有していますが、それと同時に
負の全帰還、正の全帰還がかかっているのと同等ですから、恐ろしく深い帰還
システムとも考えられるのです。

  その点ODNFは片方のループだけになってもせいぜい利得2倍になるだけだ
し、歪信号にNFBがかっており、かけすぎても自動調整されますから安心なシス
テムであるといえます。



  ここまでくると私の作っていたのはODNF方式だったことがわかりました。
今後もZDRはちょっと作る気がしません。




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