完全対称アンプの基礎
同極性素子でプッシュプルを実現するこの方法は古くはヤマハB1に
用いられており、モータードライブでは一般的なものです。アマチュア領域
では金田式完全対称アンプとして1994年頃より登場し普及してゆきまし
た。当時上側と下側では動作が違うのではないかという論争が巻き起こり
ましたが、結論としては動作はほぼ同じであり、間違い無くプッシュプルで
あるということに落ち着いたと見られています。
今となってはシミュレータもあるので簡単に確認できてしまいます。
このような回路で調べてみましょう。
クローズドゲイン
オープンゲイン
NFBの力で対称の動作をしているのだという意見は、これであっさりと
否定できます。
DCスイープ
出力インピーダンス
同 無帰還時
上下別々に見ることもできます。
どちらも電流出力です。上側はソースフォロアで下側はソース接地で
あるという意見は、これでほぼ否定できています。
上下の動作を同じにするには終段素子を高インピーダンスでドライブ
する必要があるといわれていますが、2段目の出力インピーダンスを見て
みます。
十分高いと言えます。
無帰還時
帰還時
上側と下側の周波数特性を見ます。
ほぼ同等なので位相補正は同じにするのが良さそうです。
アイドリングを1mA
以下にするとこうなります。
DCスイープ
0V近辺でgmが完全には0にならないようです。
無帰還ではこのようにクロスオーバー歪みがでます。
帰還後はあまり目立ちません。
出力インピーダンスには影響があるようです。
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