ODNFのしくみを調べる。
LUXの新アンプに使われているODNFは一見並列アンプのNFBかと
思いますが、そうではありません。
無帰還主アンプ、定電流回路と分けてそれぞれの動作を見てみます。
下側が無帰還アンプで、上側が定電流回路です。電流値だけ合わせました。
この状態での入出力特性です。+側のクリップが早く、定型的なシングル動作
です。カーブもいくぶんわん曲しています。
さてここで上側を定電流負荷のまま歪み打ち消し動作だけさせるにはどうしたら
いいか考えてみましょう。
自分で考えたい人は下をみないでじっくり考えてください。
答え
差動入力に、同じレベルの信号を入力し結果的に信号をキャンセルさせる。
このときの差信号が歪み信号になります。
このように出力を分圧した電圧と、入力電圧が同じになるよう分圧比を決定
します。
この定数で差電圧が中心部分でほぼゼロになっています。
このように結線し、入出力特性を見ます。
あら不思議、クリップレベルまで揃ってしまいました。
サイン波をいれて上下回路の信号電流を見ます。
大入力時
小入力時
このように上側は、下側の歪みが無ければ定電流負荷として働き、
歪みに応じて打ち消し信号を発生します。振幅レベルは下側と同等
にスイングできるので、大振幅時にはあたかもAB級プッシュプルの
ような特性にまで補正してくれます。
ではこれはAB級プッシュプルと等価ではないかと、ふと思いますが、
歪み信号を参照しているので、そうではありません。
小信号時にはA級シングルに限りなく近く、大信号時にはAB級PPに
匹敵する動作をするしくみであると言えます。波形的には下側A級、上側
C級の動作となっているのでAC級動作と呼ぶと面白いかもしれません。
もし上側回路が無歪アンプなら、ほぼ完璧な歪み引き算回路といえる
でしょうが、残念ながら上側もシングルなので歪み信号がまた歪んで引き算
され、しかもループに入っていますからそれらの動作を追うのは容易では
ないでしょう。
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