(附記)

  音楽のどの部分を聴いているのかによって、機器の選び方がかわってくるのかもしれない。
私の場合は、バランスも重要だがシンバルの鳴り渡る音に癒されたり、ベースのメロディーライン
がはっきり聞こえたりしないと音楽を聴いた気がしないので、そういう機器が欲しいと思うのである。

  1970年代のポピュラーやジャズにはそういう要素がいっぱい入っているので、イメージどうりに
うまく鳴らせた場合は満足度が高い。

  市販の機器でそういう条件を満たそうとするとなかなか大変である。

  原音比較というややあいまいな考え方については、私の場合は各要素がはっきり聴こえて、
音楽的に楽しいかどうかが重要と考えているので、リスナー兼スーパープロデュ−サーのような
立場をとっている。

  要するに、音楽を作り出すのは音楽家で、最終ポイントにも音楽家が存在することによって
オーディオというシステムが成り立つという考え方である。


   CDなどのメディアを媒介とする場合、原理的に音決めは2度必要になる。



   音楽家 I = 音楽家 II

   であればもっとも再現性の高いシステムとなる。が、実際は違うことが多いので、
音楽家 II の嗜好に添った音になるはずである。

  で、私の考えは

   1 音楽家 I がリスニングルームで音決めをするしか原音再生は成立しない
     のであるから、そもそも技術者には不可能。

   2 音楽的な音決めはひとつではないので、もしかするとリスニングルームのような
     ところでは、音楽家 I であっても、違う音で妥協する可能性もある。

   3 だから音楽家 II が自分の好きな音で鳴らしてもそれはさほど責められる
     ほどのことでもない。

   というふうに要約できます。