金田式アンプの音のよさの秘密を探る つれづれなるままに編
昔ラムダコンを買おうと思って秋葉原をさまよい歩くうちに4個ほど入手できた。もうすでに在庫が尽きかけていた。
とある店で聞いてみたところハイラムダが一個だけあるという。値段も相当なものである。熟慮した結果購入はあきらめた。
家に帰ってさっそくそのころ使っていたプリメインアンプに投入したところ結果は期待はずれなものだった。岡谷のVxのほうが
明らかにいい音なのだ。
厳密に比べるため、ツイーターに切り替えスイッチをつけてポリカーボネート、Vx,、Λコンでテストした。
必死になって聴き比べた結果は、丸型ポリカーボネートV2A > Vx > Λコン
となった。VxなどはΛコンにくらべ構造上鳴きが
少ないと思われる。
V2Aについてはさすが金田式の定番になっているだけのことはあると感心した。
LM3886 負荷8Ω ±27V
なんというか、几帳面な特性ですね。クリップが早いのは小さいトランスによる電流制限でしょう。
ミュージックパワーだと結構出そうな感じです。
アルミダイキャストの筺体に入れゲインクローン風にしてみた。
つれづれなるままにエピタキシャルメサの石を用いて金田式の完全対称アンプをつくろうとする。勿論
エミッタ抵抗レス、電流正帰還付である。そこまでやるととても音が良くなるらしい。
できたら例弊使の筐体に収まる予定。
筐作りは、とても難渋している。黒いほうはこのあと水砥ぎ、ポリッシングまで行ったがまだ有害ガスを発生するので、
一ヶ月くらいは外に置いておくしかない。
さてこの状態で試聴して二日目。音もかなりきれいになってきた。アイドリングはサーミスタのおかげで160→54mAで安定している。
D188のせいかストレートな感じだが硬い音がする。比べてみるとUHC−MOSのほうが柔らかくきめが細かい音がするのである。
MOSPEC(台湾製)の2N3055を試してみた。
アイドリングがクリティカルで調節しにくい。120mAくらいで聴いている。音はクリアーな感じで金田式として
違和感の無いもの。
基板を作り直す。
D188はhFEの直線性が悪いのでやっぱり電圧ドライブするほうが良い。これにD−NFBをかけるのはたぶん難しいだろう。
これまでのD−NFBの実験結果
LM1875 発振
カブトガニ 歪増加
IGBT 石破壊
D188電流ドライブ 成功
MOS−FET2段 成功
Michellの回路 成功
という結果なので位相余裕のない回路では大変きびしいのである。というわけでオーソドックスにペアマッチング
とNFBで特性を詰めてゆくことにする。
この回路、目いっぱい電圧をかけてもソフトディストーションアンプになることがわかっている。
参考
W数はともかくこのくらいの特性になることを目標にする。
徒然モードなので100本くらいあるA606を全部測定した。Vbeの測定ではやっぱり駄目なのでこの方法を用いる。
MOSPECの2N3055も測定し、D188Aも再測定した。
A606 hFE
D188版完成。
やっとのことで調整測定が終了した。注意点としては位相補正なしでは発振することと、電圧増幅基板の段階でも8Ω負荷でないと
発振することくらいだ。知らないでいると調整時にとまどう。
音は聴きなれたバイポーラの音。どんな回路でも音はそれほど変わらず似たり寄ったりになる。素子の支配力は大きい。
3次歪アンプとしてはあまり良くないほうの特性となった。
どうかと思いモトローラ2N3055のhFEが282と289のペアで組んでみた。
同じような特性になるのでD188のせいではなかった。原因はどの辺にあるのか?
NFB量を増やす。
改善度はわずか。
アイドリングを100mAまで増やす。
なにこれ?こんなによくなるとは。・・・・あの特性は終段のB級動作が原因か。
これならIGBTのほうも選別して多めにアイドリングを流せば解決するのでは?と思う私だった。
これはLM3886を最近のやりかたで測定したものである。補正したほうが前回の測定結果に近くなる。それと個体差に
よるのだろうが二次歪の全くないLM3886も存在する。測定中主信号しかでてこないので仰天した。
参考
電流正帰還をかけところ。Zo=-0.7Ωになった。
−0.7Ωでは高域の劣化はわからない。だいたい完成か。
無歪LM3886と鳴き合わせをおこなったが似てはいるものの金田式のほうが音が綺麗で深みもある。
完成した例弊使III。
暖機時にノイズとオフセットがでるので手動でスピーカー切り離しが必要。このくらい温度過補償でないと安心できない。
手間のかかる趣味のアンプだ。そのかわり音は素晴らしい。
今はモトローラとNECのオムニバスだが、音の差は少ない。注意して聴くとモトローラのほうが明るめ、NECは繊細で本格的で
あることがわかる。