対称合成


  2次関数特性のアンプは2次歪しか発生しないというのが基本中の基本です。

  このことはシミュレーターでも確認できますが、高校数学の2倍角の公式をみても、2倍の周波数が
発生していることがわかります。





  増幅素子が二次関数のような特性を持つ場合、対称合成すれば歪みをゼロにできる。


  これも簡単に確認することができます。実際に調べてみましょう。

(1)SEPP

   回路を上下対称にして、ドレイン出力を合成して実現します。ですから普通は2段目で
合成が行われます。

  上で用いた二次関数の素子で対称合成してみました。





  直線になっています。二次の項が消えるわけですね。

 実際に2段目で合成してみる



  スイッチ シングル側


  スイッチ 対称合成側


  結構威力があります。

  参考 2次歪プロセッサー




  2次歪みプロセッサー搭載のICアンプ


  スイッチ 対称合成側



  スイッチ シングル側 (ゲインが半分になっている)



(2)差動回路

   差動にしただけで対称合成がおこるということを知っている人は少ない気がします。
入力電圧が2つのVgsで分割されたうえに、電流の動きが対称なためVgsの非直線性の
キャンセルが起こるのです。

  そうですねこれは入力電圧を直接いじっているため、対称合成というには少々不適切
かもしれません。効果としては同等ということでしょうか。

 これはシミュレーターで見てみましょう。

シングル









  差動








  二次歪みが打ち消されている。

  しょっぱなから歪みを低減できますから、差動アンプはとても威力があります。さらに2段目で
カレントミラーで折り返しドレイン出力を対称合成すれば、素晴らしい特性のアンプができあがります。


 以上のことを実物で調べてみます。

K117ソース接地


  三角波入力

  1kHzサイン波入力

  同 


  J103差動


  三角波入力

  上下対称になっている

   1kHzサイン波


   2次歪は消失