ゲルマ研究事始  

  未知の素子を研究する方法は、金田氏のスーパーサーキット講座
に詳しく書かれています。それを参考にしつつゲルマニウムトランジスタ
について研究してゆきたいと思います。



§1 Vbe-Ic特性

  測定しました。


  このような定電圧特性の素子を増幅に使おうとした人たちは、
たわけものに違い有りません。



参考

三洋2SD186  構造Ge-A  EIAJ 標準外形 TC−1
最大定格:
Vcbo:25V
Vebo:12V
Ic:150mA
Pc:200mW
Tj:85℃
Icbo:15マイクロA(Vcb=20V)
hfe:120
ft:1MHz
Cob:60PF

備考:2SB187とコンプリメンタリ


 §2 電流帰還による直線性の改善

   エミッタ抵抗100Ωをいれてみましょう。

   実測しなくても、IcとVbgrndの関係は上のデータから簡単に推測できます。



  同じIcの時のVbeとVreがそれぞれ図上で求まりますから、それらを
足したものをプロットしてゆきます。




§3 実回路



  D186の肩特性が不明なのと、耐圧が低いことをカスコードで
解決します。素のゲルマの味わいを生かすにはもっと低い電圧の
アンプにしなくてはいけません。

  この回路は無帰還、ZDR、NFBのどれでも取ることのできる
構えです。

  定数を上記のように決定しました。



 プリにいれて音を聴くと無帰還のせいかZDRプリと感じが似ています。


 §4 hFEの測定

  差動アンプを構成するためにはペア組みが必要なので、測定しておきます。



  V=10*Ib

  hFE*Ib=Ic=6.15 mA

  より求めます。



§5  差動アンプ



  ゲイン 1.46倍

  相互コンダクタンスは1.2mSに相当します。

  電流は結構ふらふら動きます。このままではパワーアンプに使えない
でしょう。




§6 パワートランジスタ

  まず全数のhFEを測定し、そのうちの一つについて安定度を見ます。



   Ic=hFE*Ib



   うまくまとまっています。

  安定度をみると、Ic=250mAで一応安定するようです。しかし、350mA
にしようとすると、そのまま増加し1Aを越えてゆこうとするので無理のよう
です。

動作例
  hFE=80のもので、
      Ic=240mA   Ib=1.5mA  hFE=160


参考

2SB337

製造 :日立製作所
構造 :ゲルマニウム合金接合型

VCBO:40V
VCER:30V
Ic :7A
Pc :30W( 但しTcは55℃以内 )
hFE :90( Ic=1A )
fT :300KHz



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