ホーンは空気を精密に操作する道具であり、バスレフは原始的な楽器である
バックロードの良さは、背圧がかからず、コーンは速度特性フラットで動作し、コーン自体は過渡特性
抜群で余計な音を出さないというところにある。
4波バーストの揃い具合を見ればその非凡さに驚かされる。音を聴くとリズム楽器は細部まで表現され、
一般のスピーカーとは情報量に圧倒的な差がある。しかも力まずふんわりとでてくる様はエレガントでさえある。
空気を押し出すだけのウーハーが素手だとすると、ホーンのついたフルレンジは空気を操作するための
道具を得ているといえる。そのため格段精密な操作が可能になり情報を余すところなく音に変換してくれるの
であろう。
それと似たようなことはよく経験する。
メスと摂子がなければ医者は何にもできないのと同様、楽器がなければ音楽家は精密な音楽は表現できない。
アカペラのアンサンブルの精度の低さは少々耳につく。
逆にバーバラ・ボニーのように器楽的精密さを持った声楽は抜きん出て美しい。
おそらく位相の揃った精密な音波の変換にはホーンは必要欠くべからざるものなのであろう。
最近はまずバックロードホーンで音楽を聴いてから、残りの時間は小型バスレフを聴いている。
そうすると背圧のかからないバックロードホーンの良さと、そうでない小型バスレフとの違いがよくわかる。
もし小型バックロードホーンを作るのなら、低音の量感だけではだめで、背圧のかからない素直さと
音の精密感がでなければ作った意味がない・・・と、聴きながら思っている。
小型バスレフは小さければ小さいほど、低音が出れば出るほどその対比が面白い。
この2代目空氣忍者はそういう意味では見て楽しめ、聴いて驚くという模範的小型スピーカーであるといえる。