ダブルバスレフの製作
fb1とfb2については、空気バネのことを考えるとそれぞれに寄与する空気バネの
体積は上図のようになります。
これに基づいてWinISDで計算したfbと実験データはよく一致しています。
長岡本の式とも一致しているようですから、fb1,fb2についてはこれでOKでしょう。
attributing Vc(L) | duct diameter(cm) | duct Length(cm) | predicted fd(Hz) | |||
duct1 alone | 2.2 | 3 | 11 | 85 | ||
duct1 combined | 1.15 | 3 | 11 | 115 | ||
duct2 | 3.6 | 3 | 12 | 65 |
又、長岡本によるとFE103の場合はダクト1の径を5cmにせよとありますが、3cmで
勘弁してもらいます。
ユニットは検討中ですが、あまりオーバーダンピングのだとNGのようです。ということは、
電流正帰還が掛けられないということになるかもしれません。
作る前にバスレフ合体法により調べた箱の特性です。ユニットによりfoや山の大きさが違って
きますが参考程度にはなります。
コンセプトとしてはバックロードより簡単な構造で、それに近い制動がかけられるというものなので、
バックロードより小型にしたいのです。
問題点はやはりバスレフと同じくfoc1近辺の過渡特性の悪化でしょう。速度特性を4サイン波バースト
でみると、エンゼルフィッシュのような波形になってしまいます。
これを改善するには背圧のかからないバックロードにするか、背圧をかけたうえで電流正帰還を併用
するかしかありません。
もう一つの課題はfb1の谷がバスレフほど低くならないことです。これの原因は気流抵抗にあると
言われていますが、まだ謎に近い状況です。
fb1の谷の深さが半分になり、fo2のピークに制動がかかるといえばダンプトバスレフと同じですが、
この場合はダクト2による音圧が期待できますからその分有利です。
予想される外観
つづく
あれから4年近い歳月が流れた。設計はどうしようかと思ったが、このような考え方に基いて
行う。
バスレフのときはフラットなチューニングを得るためには本体の仕上がりQが0.56でなければ
ならなかったことから、ダブルバスレフにおいてもダクト1のみでQが0.56になるようにするのが
よかろうと思う。
それにダクト2の共振が加わってフラットに近づくのである。
シミュレーターでQ=0.56の音圧特性と速度特性を作図してみる。
これに近い特性をWinISDで描かせる。少々苦しいがFF125Kではこのようになった。
合体したとき等価容積が1.8Lに、fbが85Hzになるようあらかじめ仕組んでおくとよい。
つまり第1キャビを3.6Lとし、ダクトの長さは計算で出しておくようにする。fb2は
50Hzくらいにしておけばよいだろう。(以上FF125KDBの設計終わり。)
今回はデータが取れるようMFB−12Fを使ってみる。Qは最後に電気的に設定できる。
2ピースにして最後に接着する。
attributing Vc(L) | duct diameter(cm) | duct Length(cm) | predicted fd(Hz) | |||
duct1 alone | 2.2 | 2.5 | 14 | 61 | ||
duct1 combined | 1.1 | 2.5 | 14 | 86 | ||
duct2 | 4.4 | 1.3 | 3.5 | 43 |
こんな感じになる。何で3.6Lにしないのか?と思われるかもしれませんが実は設計より
先に板を切ってしまったからです。しかもカットサービスの方が板を間違って切ってくださって
いたのでさらに小さくなってしまいました。
attributing Vc(L) | duct diameter(cm) | duct Length(cm) | predicted fd(Hz) | |||
duct1 alone | 1.9 | 2.5 | 16 | 62 | ||
duct1 combined | 0.94 | 2.5 | 16 | 88 | ||
duct2 | 3.7 | 1.6 | 5 | 49 |
こんな感じになる。(duct2の径を変更)
超小型ダブルバスレフの製作
スプレッドシートを作っておく。
例
速度特性実測 (MFBなし)
いよいよダブルバスレフ(まだ接着していない)
誤差が結構あった。ダクトを延長して少しfb1を下げてみる。
このくらいが限度か。音を聴いてみたが結構満足できるものになった。
この定数で接着してしまおう。
ダブルバスレフは周波数に応じて稼動するダクトが変わる仕組みであるから、
回転数に応じてカムプロファイルが変わるエンジンにとてもよく似ている。
だからfb1とfb2が離れていないと成り立たない。またダクト1が稼動中はダクト2
が見えない(閉じている)状態、ダクト2が稼動中はダクト1が見えない(開放中)で
ある必要が生ずる。したがってfb1>fb2であることは必須であり、ダクト2は細いほう
が効果的かもしれない。
一応そのへんを考慮して設計した。