アンプ測定の新手法

  アンプに要求される性能を工学的に考えてみると、

  1 高出力
  2 低歪
  3 低ノイズ
  4 安定性、安全性
  5 スピーカー制御能力

などが挙げられ、これらを測定項目で示すと、

  1 最大出力
  2 高調波歪率
  3 SN比
  4 ドリフト特性、方形波特性
  5 ダンピングファクター

  という風になります。

  これらは音質の一部に関係していることは確かですが、残念ながら
情報量、音場感、楽器の質感については、測定で示すことは不可能に
近いと思います。

  さて今回示すのは、5についてですが、これをスピーカー速度制御能
という概念に置き換えてみたいと思います。

  ダンピングファクターが大きいということは、スピーカーに対して電磁制動
が多くかかるという意味であり、これはボイスコイルの速度が速ければ速い
ほどそれを抑える力が働くことに相当します。

 これはスピーカーのfsにおける音圧を支配していますが、これが大きければ
アンプの支配力が増し、小さければスピーカー固有の音が出てくるともいえるで
しょう。


  オンゾウ MFB20
  

  何度も出てきますがこれこそは、アンプの速度制御能を教えてくれるだけでなく
スピーカー負荷時の過渡特性も示してくれるすぐれものです。



  例
    (これにはサイン波スイープ信号の入ったテストCDとwaveSpectraのようなスペアナ
     ソフトが必要になります。)



  このDF=1の完全アンプでは、このようにQ=1.6になります。一般のアンプでは
Q=1.1くらいになります。
Qの求め方




  負性インピーダンスアンプを作った場合は、このようにしてQを調べておきます。
負性インピーダンスの実際の効能は速度制御能ですから、これによって確認するのが
一番直接的です。

  もし電流出力アンプを作ったなら、Q=3くらいになるはずです。


  つぎに過渡特性の見方を示しましょう。これにはWave Paseri のような音声レコーダーの
ソフトが必要です。またバースト波は連続サイン波をこれで編集してCD-Rに書き込んで作り
ます。







  このように、波形の立ち上がり、混変調、波形の歪、ポストリンギングについて正確に
検討することができます。

  これはスピーカーについてですから、アマチュアの測定環境とはとても思えないよう
な有り難いものです。

  一個12500円の投資で可能になるので、アマチュアアンプビルダーに必携のアイテム
といえるでしょう。


目次に戻る