パワーJ−FET パワーアンプ

 これは2021年に購入したパワーJ−FETで、SiCでできたJーFETであるらしい。




左がUnited SiC社製、右がInfineon社製である。





製作に必要な技法がようやく揃ってきたのでアンプを作ってみる。

  回路図、基板図は書けたので、この辺から始めることになる。これだけでカッターの刃を3、4枚消費するので大変である。  






回路図と基板図を示す。





この辺まできた。



いくつかのミスと電源の問題があったのでしばらく足踏みしていた。右は問題点を見つけるための実験基板。





やっとバイアス電圧を作ることに成功したところ。






終段石をつないでアイドリングの挙動を見る。-10Vくらいからドレイン電流が流れることがわかった。 温度補償が気になるが、
物凄いスピードでドレインが増加することがわかった。定数をいじっても対処不能 だったのでしばらく考えているとこれは
補償回路が正帰還になっていることに気がついた。

 バイアスもそれ程深いものでもないのでMOS FET ダイオードをソース側に入れる方式に戻って製作する。 回路図と基板図
を書き直した。






これなら負帰還になるはずである。



バイアス電圧の生成を見る。半固定抵抗を絞った状態で5.1kΩ負荷で4V出ている。実際は10kΩの
サーミスタが並列に入るので2.4Vくらいになる。




 マイナス側のみの電流メカを見る。バイアス電圧を2.4Vから上げていって3.6Vにしたところ。
終段の電流が50mAくらいになった。非常に良く安定している。




上下の終段をつないでアイドリング電流を揃える。




最後に出力ショートピンを32Ω抵抗に替えて、アイドリング電流、出力オフセット電圧を見る。40mAに調整。






残りの基板を組み上げて調整した。特性は測ってないが、もうこれで音が聴けるだろう。





 机上でのチェックに全て合格したので、タワーの4階に置いて試聴する。怖いので試聴まえに出力オフセットは見ておく。



 さて試聴一日目はSic MOSのような音だなと思って聴いていた。坂本龍一、ボブジェームス、スティーリーダン
などを聴いた。 その日の夜アートガーファンクルのウォーターマークを聴いてみると違いが分かるようになった。
透明度が違うのである。V~FET の音とは違うと思うが、SiC MOSの透明度を格段に上げた素子なのではないだろうか。



このアンプ無音で立ち上がるし(遅延回路なし)、つけっぱなしにしてもほとんど熱くならない。結論から言うとパワー
J−FETアンプの音は筋金入りの低域と、軽快で爽やかな高域が特徴である。

 ノイマン指揮チェコフィル、ドヴォルザーク八番ではかなり驚いた。透明で歪感のないオーケストラが空間に現れた。
今までに経験しなかったことである。クーベリック指揮チェコフィル、ドヴォルザーク八番はやや濁りが感じられた。これは
録音の違いだろう。クーベリック指揮ベルリンフィル、ドヴォルザーク八番も聴いてみたが、表情の付け方が僕には
しっくりこないのが良くわかった。

 この後はジョン・レノン、ポール・マッカートニーのアルバムを聴いてみた。評論家のインタビューで評価をさんざん
聞かされたので検証するためだが、やっぱり大人の心と耳で聴いたビートルズの評はどこかねじ曲がっている。
まっさらな子供の心で聴くビートルズが正しいのである。