Korg Nutube使用プリメインアンプ III
Nutube アンプの新作を作る。Nutube
の愛称で知られるこの素子は6P1という型名を持つ直熱三極管なのである。
±15Vで動作するこのプリメインアンプはやはりなかなか面白い音がする。今回±40Vで動作するアンプを設計してみよう。
前回と比べて負荷抵抗を大きく設定する。最大損失ギリギリまで攻めた設計である。
ヒーター電流は定電流化してあるので、焼き切れる心配は少なくなっている。20mA以上流してはいけない。
スイッチングダイオードの数でバイアスが変更できる。3個だと+1.8Vである。アンプ回路はシンプル化し、
出力リレーは機械式から電子式にグレードアップした。
基板製作途中
ヒーター電流を見ていると定電流ダイオードだとどんどん減少する。かなり発熱するのだろう。こうなったら
抵抗一本の方がいいかもしれない。
3kΩ2Wの抵抗にしたところ。ヒーター電流14.5mA、カソード電流61μAとなっている。ほとんど変動しない。
動作点を61μAに移動
Nutube とFETバッファの部分を完成させた。こちらのchはヒーター電流15.2mA、カソード電流60.9μAとなっている。
これだけでハイブリッドプリということになる。
特性を調べた。
いい感じに2次高調波が出ていて、その半分の3次高調波が発生している。2次高調波は音楽ではユニゾンであり
音に厚みとふんわりした印象を与え、3次高調波は五度音であり元の音にくっきりした音調を与える。脳に調性感を
与えると言ってもいい。調性音楽を聴いている脳は五度の音を聴くと一度の音が脳の中で同時に鳴るのである。
ただしこの実験はある程度音楽の訓練を受けていないと成立しないかもしれない。一方聴感上不快な5次、
7次高調波は極めて少ない。さすが直熱三極管だけある。
この辺まで出来上がった。
片ch組み上がったのでパワーアンプ部のみで測定した。安定動作に470pの位相補正とスナバが必要だった。
プリ部と合体した特性。さらにもう一つスナバが必要だった。
発振の問題がありあと一歩のところで足踏みしている。ふと思いついてプリ部は問題ないか
テストしてみることにした。
両chともきれいにサイン波が通る。
プリアンプとして音を聴いてみる。なかなか良くてFETアンプとも相性が良い。