Technics SE-9060の改修
某月某日 古いパワーアンプSE-9060の再改修に着手する。
保護回路から作ることにした。
元のアンプに使われていたパワートランジスタ
この代わりに日立のMOSーFETを使い、LoーDスーパーリニアサーキット、Λコン搭載のアンプを製作する。
某月某日
作業を進めた。今回の保護回路は左右独立電源に対応するため少々工夫が要る。
部品を載せたところ。この後の基板配線は楽しみの一つである。
一部の部品は調達中なので今のところこんな感じである。VHコネクタ、金属板抵抗、100V耐圧の電解コンデンサー、配線材などが
足りない。やはりアンプ基板は左右対称にした。
今回使う日立のMOSーFET
基板に載った太陽通信のΛコン。銅箔、銅リードのフィルムコンである。昔秋葉原で4個買えた時のものである。
この辺まで進んだ。
電源部 SE-9060の電源部にHMA-9500IIのレギュレーターを組み込む。動作を調べてみた。
手持ちの部品に合わせて定数を変更した。
電解コンデンサーが大きかったのでこのようになった。メインの整流ダイオードは基板の裏側に取り付けることになる。
整流のみ
レギュレーター出力
うまく動作しているようだ。
メインの整流器は基板の裏に装着する。
±50Vが出ている。
保護回路を作動させたところ。
両chに100kΩのブリーダー抵抗を入れている。これにより電源オフ後15分で初期状態に復帰できる。少々不便だが一番簡単な方法である。
ここまでは大体順調と言えるだろう。いよいよアンプ基板に取り掛かる。
当初予定いしていた差動二段アンプは発振が止められなかったので、今回は暫定的だが動作確認済みの上條式無帰還アンプを搭載する。
最後の調整。アイドリング208mA、オフセット7.7mVとなっている。
テスト用スピーカーにつないで音楽を鳴らす。アイドリングはとても安定しているのでオフセットを監視する。
大丈夫のようだ。最初の基板は製作を継続する。
メインシステムに組み込んで音質を確認する。
クラシックでは音が柔らかくて澄んだ音がすると思う。ロックでは楽器の分離が凄すぎて精密なアンサンブルのように聴こえる。
フュージョンでは元々楽器の分離が良いので楽器ごとのエコーまで手に取るようにわかる。まあこう言ったところである。
フォノイコライザーとの相性を見るためにここ数日昔のレコードを鳴らしている。
カチッとした余韻の綺麗な音に魅了される。低域も程よい重量感があり、音楽を楽しむのにいい装置になっている。至福の時間と言って差し支えない。
第二部
Lo−Dのスーパーリニアサーキットの動作を示す。HMA-9500IIにモジュールとして組み込まれているものである。
これを搭載する。
最初に無帰還アンプを作って動作を確認する。差動二段アンプは結局諦めた。
これは何とか出来たようだ。
参考 諦めた差動回路
続いてノンスイッチングアンプ回路を組み込む。
起動時ミューティング回路を加えた。フォトボルとMOS
FETからなる電子リレーである。
大変いい音だった上條式基板を外して、この基板を搭載する。
調整が済んで音出しをした。
モワッとしたはっきりしない音がする。しばらく調整と検討が必要だ。
出来の良い方の基板を調整するとクリアーで美しい音になった。バイアス回路の活性領域があるのではないかと思う。
アイドリング170mA、オフセット44mVとなっている。テスト用スピーカーで試聴中。
もう一つの基板は2段目のエミッタ抵抗にVRを加えてオフセットを調整しているが、これを取ると20Vのオフセットが発生する。
これはバイアス回路のTRを選別しているところ。C1815とA1015はVbeがよくマッチしている。上に書いてあるのは高耐圧の
C2240とA970だがこれはマッチングが良くない。
これは2段目の日立のTRのhFEを見ているところ。マッチングが良くない。東芝の石に変更する。
以上全てを変更してもオフセットが改善しないので、ダイオード4個のバイアスに戻すことにした。
テスト中。音はだいたい同じではないだろうか。
しばらくはこれで運用する。
第三部
HMAー9500 II
に倣ってバイアス回路をモジュール化する。
オフセットは問題ない
バイアス生成も適切である。
基板を装着して調整する。アンドリングは一定値にピッタリ張り付いている。DCドリフトも少ない。
特性を測定した。
音は華やかでとても柔らかくドスの効いた低音が出る。HMAー9500
II のDNAを受け継いでいると言えるだろう。