ICアンプシリーズ(LM1875T)

  ナショナルセミコンダクター社のLM1875Tは安価(1個380円位)で入手しやすく、
気軽にDCアンプが作れます。


   最大定格  供給電圧   60V

   入力バイアス電流     ±0.2μA

   オープンループゲイン   DC   90dB

   GB積     fo=20kHz    5.5MHz

   出力  25W (電源±25V、負荷8Ω、歪み率1%)





  このような完璧な5端子モジュールになっており、パワーモジュール基板にするにも
好適です。

  というわけで、ディスクリートパワーモジュール方式で詰めてゆきます。


  最初にこのような回路で組んでみました。






  いろいろ問題があるようです。

  ±27Vで鳴らすと、しばしば保護回路が作動します。それで±14Vにすると、クロスオーバー
歪みらしきものが盛大にでます。

  今は±20Vにしていますが、若干のバズあるいは歪みが聴き取れます。

  大雑把に聴けば、高域は抜けがよくエピタキシャル風、低音は電磁制動が抜群に利いて
いて、とてもいいアンプです。


  このままではオーディオとしては不十分であり、なんとかしなくてはいけません。 

 幸いデータシートに推奨プリントパターンが載っており、それを参考にしてみました。

  このとおりにすれば、ゲイン10倍で安定に動作するとあります。しかもこのような
わかりやすい解説もあり、役に立ちそうなので要約しておきました。




  若干変更していますが、ほとんどデータシートどおりの回路です。



  出力のスナバーは極端な値なので、何か他の目的があるのでしょう。

  音を聴いてみると、なるほどすっきりした音になっています。安定性が良いのでしょう。





  もしこれで安定なら、こちらの方が若干音が良いはずです。



  安定ではないことがわかりましたので、バスコンはNS社のとおりにします。



  比較試聴履歴

右ch 左ch      音質       
左右一体基板   片方が歪んでいて、もう片方がそれに影響を受けている

印象。分離が必要。

自己流配置 自己流配置 聴きづらさは少なくなったが、左右とも若干のバズまたは

歪みを感じる。抜けの良い音。

NS流配置
ACアンプ
  すっきりした音。いろいろと聴いても変なところはない。若干抜けのよさ

は後退。

NS流配置
ACアンプ
NS流配置

DCアンプ

DCアンプのほうが引っ込むし、ACアンプからはいやな音が聴こえる

ので、DCアンプのほうが歪が少ないのだろう。そしてこういう動的歪み

は測定ではでてこないので高調波歪み率は同じだろうと思う。

NS流配置

DCアンプ

OSコン

NS流配置

DCアンプ

 パーフォーマンスは同等。OSコンのほうが若干硬質、クリスタル。


  現段階でパスコンは安いポリエステルフィルムとOSコンのパラですが、これで十分な気が
します。ここに高級フィルムコンを4個投入したとしても、決して究極の音は生まれません。

  モノリシックICの情報量は多いし、音場も立体的で悪くはありませんが、やはり限界はある
ようです。

  懐の深さ、柔らかさ、音のさらなるディーテイルを追求しようとすると、ゆきづまります(多分)。





  このように入力フィルターとセパレーターをいれますと、鮮明な音になります。たしかテクニクス
のアンプでこのようなセパレーター配置をみかけました。

  このアンプがどのくらいの位置にあるかまだ判然としないので引き続き聴き込んでゆき
ます。

右ch 左ch         音質
NS流配置

DCアンプ

OSコン

NS流配置

DCアンプ

OSコン

入力フィルター
セパレーター

  右のほうが、嫌な音が混じっているのがわかる。

左はすっきりと透明な感じ。

NS流配置
DCアンプ
OSコン
入力フィルター
セパレーター
NS流配置
DCアンプ
OSコン
入力フィルター
セパレーター
  はんだづけ後のOSコンのエージングが進み、

きれいな音になってきている。



レールまたぎASC
0.33μF
ASCを入れると、音の無いところに音が無いという風に、

細かい音がよりすっきりとふわりと出てくる。音場も右と左

で違う感じがする。


レールまたぎASC

レールまたぎASC
これ以上ないくらい透明な音が実現。どうしましょうか

という感じ。

     
     

  このような状況


   解像度を高くピュアにする方向ではこの辺が限度です。

  完熟したトロリとした音にもってゆく方法は何かあるのでしょうか。技術書ではそういうものを
書いたのをみたことはないので、メーカーのノウハウかなにかにあるかもしれません。

  それよりまずそういう製品があるかどうかですが。


   計ってみるとZo=0.08Ωでしたが、これを3Ωくらいにしてみましょう。
ふわっとした雰囲気がでるかもしれません。



  こうすると、実測でZo=1.3〜13Ωにすることができました。

  中高域が癒し系の音になるので、だいたい4Ωくらいできいています。


  その後帯域電流負帰還を導入し、さらに基板を作り直し、金と銀エフェクターを搭載したのが、
この図です。



  これで完成ですが、これは私の好きな音です。

(おわり)