YAMAHA A−5を基にワイドラー式アンプを作る
この図は、雑誌の記事をメモした図を元に、変な部分を適当に補った図ですから、基本的な
部分以外はかなり異なっているものと思われます。
この回路の特徴は、カレントミラー負荷で初段でゲインを稼ぎ、2段目でも定電流負荷でゲインを稼いでいる
ことで、その結果オペアンプに近い裸ゲイン特性が得られます。
このようにゲインはかなり大きく、fcは低いところに来ます。
位相回転の様子
100pを入れて初段のポールを下げてみます。
10pを入れて二段目のポールを下げてみます。
その結果
これによる変化を見れば、どちらがどのポールであるかがわかります。この場合は20kHz
が二段目のポールです。
初段補正ではポールが接近し、二段目補正ではポールの間隔がひらくことがわかります。ポール
の間隔が開いている方が帰還をかけたとき安定します。
DCアンプ回路は二次のローパスフィルターの性質をもつので、肩特性の部分にQを持っています。
微分してQを見てみましょう(山の先鋭度がQを表す)。
このように初段補正ではQは増大し、二段目補正ではQは小さくなります。
微分した信号を帰還してQを直接制御することができます(いわゆる進相補正)。
Qを小さくするという意味では、二段目補正より理にかなっています。
在りしころのA−5
このような部品が取れましたが、使わないほうが良いようです。
D586 エピタキシャル 5A 15MHz
位相補正
§1 10P程度ではまだまだワイドラーとはいえない
これで見ると、NFBは45dBくらいしかかけられないことがわかります。70dBの帰還をかければ発振
するはずですが、Pspiceでは矩形波をいれても安定していて確かめることはできません。
§2 進相補正の採用
位相補正10P、進相補正10P
これだと発振しました。
§3 ドワイドラーだ。
位相補正100Pをいれると、fp1とfp2の間が開き、安定度が増します。
fp1が800Hzまで下がることにより、fp2でのゲインが−55dBから−75dBまでさがっています。
仕上がりゲインは−80dBなので、いい線を行っています。進相補正を少しいれてみます。
進相補正5Pで具合が良いようです
これでもバズがはいります。
ステップ型補償の採用
これでなんとか収まりました。
いい音で鳴っています。
参考
2ポール補償(ステップ型補償)の概念図
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