可聴域の細部まで調べる(3)
さていよいよ被検物の差をみてゆくのだが、いきなり玉砕するのもなんなので、一番差の出やすい
アンプの比較から行う。
音圧を見るのはやはり自信がないので、スピーカー負荷時のスピーカー端子電圧を見てみることに
する。電気的なものを見るのがやはり安定性、再現性に優れているのだ。
スピーカーをブラックボックスと見て、入力が同じなら出力も同じと考える。しかし入力が違っても出力が
同じである可能性もあるため、この検証法は問題があるのである。
ただ、これで差が証明できればスピーカー次第ではそれらを聴き分けられる可能性を示せたことになる。
アンプといえばやはりこれ、
LM380と6BQ5シングルの聴き分けテスト
のコンビで調べてみようと思う。たとえ耳は欺けても、いくつか測定してみればすぐに素性が知れる。
この場合歪み率を見れば一番はっきりする。
さて聴いてみてわかる差といえば、質感、音場感、付帯音などが挙げられる。やはりアンプにはそれぞれ
のくせがあり、聴いてみればすこしづつ違うのだが、面白いことに全部良いアンプというのはなく、一長一短
の事が多い。
高域のきめの細かさ、低域の重量感なども判断材料として有力である。だから、各アンプで聴き比べを
行うとき、相対的に○×△くらいに記入しておけば、その成績からどれがどれであるかわかる可能性がある。
このとき各項目での順位を決めるのであるから、アンプは3台くらいで行うのが判定しやすいかと思う。
6台もならべて行うのは混乱する可能性が高い。
採点例(通知表方式)
LM380N | 6BQ5 | 水仙 | |
質感 | ○ | ◎ | ○ |
音場感 | ○ | × | ○ |
付帯音 | |||
高域のきめの細かさ | ○ | ◎ | |
低域の重量感 | △ | △ | ◎ |
静寂感 | △ | ○ | △ |
ハム音 | ○ | ○ | △ |
空欄は保留
何が何に関係するか有る程度判明している。
1 質感は何にしても真空管が優れている。半導体では近づくことすらできない。
2 セパレーションの良し悪し、位相回転、情報量の多さが音場感の生成に関係している。
3 付帯音は、アンプの構造、コンデンサーなどの質が関係する。
4 高域のきめの細かさは、FET>バイポーラとなっている。
5 低域の重量感 UHC−MOS >> その他
6 静寂感 整流ノイズ、フラックス、電源ノイズによる。
したがって何を良くしようかと考えれば自ずから構成は決まってくるのである。
ではいよいよ波形データで勝負してみよう。(スペクトルは時間合わせに難有り)
構成
パイオニア DV−515、オールFETプリ、被検アンプ、赤黒ケーブル、賀茂
こうしてスピーカー端子の電圧波形をパソコンに取り入れ、WAVファイルを生成しその波形を
見るのである。
果たして忠実に再現されているのだろうか。大爆笑の結末は次回。