2 電磁制動の原理
理想電圧出力アンプは入力のゲイン倍の電圧を常に出力しますから、負荷が変動しても
電流を変化させて出力電圧を一定に保つことができます。
実はこれが電磁制動がかかる理由なのです。
負荷がスピーカである場合
信号が入力されスピーカーが鳴ると、ボイスコイル速度に比例した起電力が発生します。
そのときfsにおいて、スピーカーは大きめの起電力を発生するので電流の減少も大きくなります。
3万円クラスの半導体アンプPioneer A01でそのようすを見てみましょう。
入力に4波バースト(100Hz)を入れた場合
このように出力にもそのような電圧があらわれています。
電磁制動がかかった結果、電流はこのように変化しています。
両者を重ね合わせると、
コーンの動きが速くなるにつれ電流が減少し、信号が止まってからは比較的速く振動が
収まっています。
ボイスコイルの実際の動きは速度波形で見ることができます。fsにおいては速度特性の位相ずれは
ゼロですから、波形の変化をみるのに適しています。
このように決して信号どうりには動いてはくれません。
比較的速く振動がおさまると書きましたが、電磁制動がかからない場合を見てみましょう。
電流出力アンプでの波形です。
このように電磁制動が無いと、なかなか振動が止まらず、位相も合わなくなっています。