電流出力アンプのメリットについて考察します
Thermal errors caused by voice-coil heatingを調べる
電流駆動のとき電磁ダンパーはなくなり、メカニカルダンパーのみとなる。
それが良いかどうかはまた別問題となる。なぜならメカニカルダンパーが全面にあらわれた
とき、その非直線性と発生する固有音の影響を評価しなくてはならないからである。
ダンパーとして共振を止めるときはゼロ変位を中心とした小信号領域で働くため、
電磁ダンパーは直線性のよい領域で作用している。また、小信号時はDCRの変化は
少なく、大入力のときに歪が発生していると考えられるが、そのときは他の要因でも
大きい歪が発生しているので、その影響を検知するのは難しい。
また電磁ダンパーを除去し、そのかわりに空気ダンパーを導入したばあい、むしろ
より直線性の悪いダンパーを入れたことになるかもしれないので注意が必要である。
実験1
バックロードホーンを聴き始めとまあまあの大音量で20分聴いた後のDCRを
測定した。
最初 13.5Ω
終わり 14Ω
結論 感知できるほどの差はない。
実験2
リアルタイムでインピーダンスを見れれば良いのだが、アナログ演算器のようなものが無いので
なんとか工夫してみた。
方法
スピーカーに流れる電流と電圧をブリッジのようなもので検出し、x−y入力にいれる。
この傾きがインピーダンスを表している。
電圧
電流
x−y入力
赤 小音量時
緑 大音量時
小音量時と大音量時で傾きの変化を見たが、有意な変化は無かった。
Nonlinear electromagnetic
damping due to (Bl)2 variationsも調べる
Hi-Fiスピーカーにおいて、強力な磁気回路で磁束を飽和させておき、外部の少々の変動
は吸収してしまうという手法を見ることがあります。
ですから弱ーい磁気回路のスピーカーで調べるのが良さそうです。
High-frequency distortion from
coil inductiveは聴けば分かる
左が電流アンプ、右が電圧アンプ。
電流アンプには帯域電圧帰還が施されているので、同等の環境で比較することが
できます。これは自動検出速度MFBと同等です。
低域での非直線性が出るのでは?と思うかもしれませんが、それは聴いて分かるレベルの
話ではありません。
FF125Kで聴くと、電圧アンプはいつも良く聴く音で、アンプのキャラクターが感じられ
ますが安心して聴ける音です。
電流アンプは高域の切れが良く厚みもあります。これはどこに行っても聴ける音ではな
いので、試聴会に行くか自分で作るしかありません。
Millsの論文では3kHzの高調波歪の差が出ていますが、そのうち調べてみましょう。
データを見かけませんが、巷にある電流アンプは歪率がもともと高いので調べても無意味なの
かもしれません。
3kHz正弦波で、スピーカー出力と抵抗負荷の歪率を見ました。
マイク SONY ECM280F スピーカー FOSTEX FF125K
これを見ると、電圧アンプでは歪率をいくら下げても高域では無効なのがわかります。
しかしこれでは電圧アンプの方がまだ優っているので、電流アンプもより低歪のものを作る
必要があります。