長岡式FE203バックロード

昔の週刊FMに載っていた図面をもとに作ってみました。ユニットはこれも
昔のFE203の16Ωタイプです。ツイータはテクニクスの5HH10で、
ローカットに双信の丸型V2Aを用いています。

 バックロードのメリットは、その高能率のために情報の欠落が少ないこと
にあり、そのせいかアンプの違いをとてもよくだしてくれます。アンプの自作
者は1セットもっておくべきかもしれません。








  これをみると、いわゆるコニカル型になっており、このあと長岡式は直管型に移行しています。

 FE203(16Ω) インピーダンス


 ホーンロードあり


  音圧特性(50cm)


  このようになるのは干渉のためで、無論これは聴感とは異なります。あとで行うセパレート&バースト
法で調べる必要があります。

  同 ツイータあり


  ホーン開口部50cm


IV解析

  電流波形は、電磁制動履歴といってもいいくらい電磁制動に関する情報を含んでいます。



  尻尾の部分でわずかに制動電圧の発生が見られますが、驚くべきことに第一波で電圧波形にほとんど
差が無いように見えます。または電流波形の一波目がどちらも上昇していないように見えます。

  これは第一波目からフルに立ち上がっていることを示すのか、電磁制動がかからないのか、これだけでは
まだよくわかりません。

  低域周波数特性


  まだうかがい知れないことがいろいろ起こっているようです。

  このスピーカーは要するに、ノーマルのHMA9500II で100%鳴らせるということと、ソースをSACDにしてみると
まったくくせの無い再生音が実現するので今驚いています。


  ここからは、長岡氏の著書を参考にします。

  直管に変換して、調べてみました。




  スロート面積は振動板面積に近いので背圧はかかりにくく、空気室は6.4Lあるので若干のローパスフィルター
の役割を持ちます。

  空気室をゼロに近づけると背圧がかかり、コーン前面からの低音が出なくなり、歪が増える(実験済み)。空気室を
極端に大きくすると、ホーンにプレッシャーがかからず、大型密閉箱と同じになる。

  6.4Lというと、密閉箱にしては小さすぎですが、適当なプレッシャーを生じる大きさなのでしょう。


 さて、本当にバックロードでは第一波からフルに立ち上がっているのでしょうか?

 速度特性を見るのに、同じ20cmのMFB20を装着して調べました。ねじ穴は同じです。

  裸ユニット速度特性


 同 MFB ON


  MFBによりきわめて低Qが実現しています。FE280SSも真っ青です。


  ホーン装着後


  ホーンによる制動が加わり、その上に電磁制動と速度負帰還が加わります。



  このように4つの波形が揃っているのを見るのは、感動物です。広い範囲で速度特性フラットを実現しています。
MFBとバックロードに併用はほとんど見掛けませんが、FOSTEXのQ=0.2前後のユニットを用いればこれと同等の
特性になると考えられます。




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